「直希さん、失礼しますです」
菜乃花が出てしばらくして、今度はあおいが部屋に入ってきた。
手には洗面器とタオルが持たれている。「えーっと、それはつまり……」
「はいです。体を拭かせていただきますです」
そう言ってにっこり笑うあおいに、直希は諦めた表情で両手を上げた。
「これもその……介助の練習、なのかな」
「え? 何の話ですか?」
「あ、いや、こっちの話」
「ではでは直希さん、座ってもらえますですか」
「了解。よいしょっと」
さっきと同じく、腹筋に力が入らないのか、うまく起き上がることが出来なかった。
「失礼しますですよ」
あおいはそう言うと、正面から直希を抱き締めるように腕を回した。
「……あ、あおいちゃん?」
重量感ある柔らかなふくらみが、直希の胸に密着された。あおいの髪が顔に触れる。
先ほどの菜乃花の時のように、直希が動揺した。「では……1、2の3です」
あおいの掛け声で、直希の上半身が起こされた。
「どうでしたか直希さん。うまく出来ましたですか」
笑顔のあおいに、直希は視線をそらしながら「う、うん……うまくなったね」そう言った。
「よかったです。これも先生と直希さんのおかげです」
そう言って嬉しそうに微笑むあおいに、直希はまた見惚れてしまった。
「では直希さん、少しだけ待っててくださいです」
そう言って台所に向かうと、洗面器にお湯を入れて戻ってきた。
「直希さん、ご自分で脱ぐことは出来ますですか?」
「……あ、ああよかった。自分で脱いでいいんだね」
「え?」
「ああいや、こっちの話。大丈夫、ちょっと待ってね」
直希が上着を脱いでいる間に、あお